以前「教育虐待 その5」で「自己肯定感」について触れた。慶応義塾大学大学院教授 前野隆司氏によると「短所や苦手なところも含めて、自分で自分を肯定的に認めて、大事にできているかどうか、これが自己肯定感です」ということだ。
生徒指導の基本はこの自己肯定感を持たせることにあるのではないかと思う。ところが今から思えば私自身、子どもの頃に自己肯定感をしっかり持っていなかった。
「日本の子どもの自己肯定感は、他国の同年代と比べると圧倒的に低いという結果(図参照)が出ています。実は、その原因の多くは親にあるのではないか、という仮説を大勢の研究者が主張しています。誰かに子どもを褒められても、『うちの子なんか全然ダメ』と謙遜のつもりで言ってみたり、『●●くんはすごいのに、どうしてできないの?』なんて何げなく口にしたりしていませんか?そういった親の無意識の言動によって子どもの自尊感情が損なわれ、自己肯定感が低下すると考えられています。」(前野隆司氏) (2020年1月12日付朝日新聞別刷 EduAより)
まさに私の母親と私の関係はこのとおりであった。母は私を自分の分身のように思い、自分と同様常に卑下していた。特に父に対しては、私は肉体的にも精神的にもさらに能力的にも劣っていると何かにつけて言われた。母は悪気もなかっただろうし、私も母に甘えたかったので、形式的には平凡な親子関係が続いた。
出典:「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」(内閣府)
グラフ:「親だからできる!子どもの自己肯定感を高める秘訣とは?」 より
https://www.asahi.com/edua/article/12801744