NHKで、ある学習塾の創業(昭和40年頃)からの道のりを描いた「みかづき」という連続テレビドラマが放送された。
私は原作を去年読んでいたので興味をもって毎回見た。
原作を読んだとき思ったことは、「作者は塾業界のことをよく調べてはいるが、やはり当事者でなかった分現実とは異なった内容が描かれているな」ということである。
例えばドラマでも進学塾か補習塾かという路線の対立が重視されているが、実際はそうではなかったのではないか。
学校より先取り学習をさせている進学塾と、学校についていけない生徒を対象にした補習塾。
ドラマでは教育の理想を追求する講師が後者に属し、前者では落ちこぼれる生徒が出てくるように描かれている。
しかし、私は「あまり流行っていない個人塾が補習塾とならざるを得なかったのであり、合格実績が出ないこのタイプの塾は当然発展は望めなかった」と考えている。
それより教育者と企業家の両者の対立を描くならば関西でいえば藤原学園か浜学園かといった構図の方がよかったのではないか。
一方、浜学園は皆様もよくご存じの方もおられるので紹介する必要はないと思う。
他方、藤原学園の創業者故 藤原先生は「教育は企業ではない」と塾を法人化しなかったし、学習塾に理科実験教室を併設(メインだったのかもしれないが)し、小豆島に理科実験などのために広大な合宿所を生涯をかけてつくられた。
藤原先生の教え子の中には医師など多くの優秀な社会人が輩出した。
補習塾ではなく真の教育を目指されたのだ。