入眠剤を飲んで気分が悪くなっていろいろな方に迷惑をかけた。その翌日、心療内科の医師が来られた。私のうつ病の経歴や入眠剤の使用歴などを聞かれた。医師は「お薬が少し多すぎるので、減らしましょう」と言われた。その日は前日の記憶が強すぎ怖くて全く飲まなかった。だから昨日に続き全く眠れなかった。次の日からは午後11時に薬を飲んだが、1、2時間ぐらいしか眠れず、それは退院まで続いた。入院で苦しんだひとつがこの不眠だった。
手術直後からお腹が張って何とも表現しようのない不愉快さが腹部にあった。手術の時に腸にガスを注入したという。「ガス(おなら)は出ましたか」と医師や看護師によく聞かれた。手術後3日程はガスも出ず、便秘だった。朝8時、昼12時、夕方6時にそれぞれ食事が出たが、医師からの注意もあり腸のため少しでも食べるようにした。最初の頃は腸が受け付けず戻してしまった。
鼻、両腕、両足、尿道、わき腹それぞれが管や線につながれていたが、日が経つにつれて1つずつはずされていった。その時々はとてもうれしかった。最後に残ったのが尿道だったが、抜かれた時はとてもすっきりした。しかし、その直後から尿失禁というものに悩まされることになった。
尿失禁はなぜ起こる?
骨盤の底で尿道、肛門のまわりにハンモックのように広がる筋肉を骨盤底筋群といいます。正常な場合はこの筋肉が強く収縮するため尿は漏れません。ところが手術後は、骨盤底筋が弱まり、膀胱が広がり、尿道の収縮も弱くなるため尿漏れが生じます。手術の創の痛みがなくなったら、骨盤底筋体操を始められます。骨盤底筋体操によって、尿漏れがより早く改善できるといわれています。
看護部
手術後はおむつをはいていたが、さらにパッドをあてる(正確には包む)ことになった。ベッドから立ち上がると必ず尿が漏れた。「あ!」と思うのだが、もう遅い。悲しくなった。骨盤底筋体操を看護師から教えられた。しっかりとできているかを調べるということで、肛門近くの筋の部分に指をあてられ、そこが動いているかどうか確かめられた。恥ずかしさより頑張り。「よくできてます」とほめられた。
4月1日に退院した。今もおむつにパッドが手放せない。TBSのニュースキャスターに脚本家の三谷幸喜氏が出ていた。彼は著書「ボクもたまにはがんになる」で尿失禁のことも書いている。彼のように自由に外で活動できるのはいつになるだろうか。