「よく復習しておくように!」と言われたことのない人はいないでしょう。
それくらい学習において復習は大切です。
そして、塾の勉強においてもそれは同じです。
でもなぜ復習が大切で、そもそも復習とは何をすることなのでしょうか?
今回はその辺りの話をしたいと思います。
本題に入る前に、学習塾について触れておきます。
学習塾には予習型と復習型の2タイプがあります。
予習型の塾は、授業や定期的に行われるテストに対して予習をすることで準備をしていくというものです。
復習型の塾では最初に授業で新しいことを習い、後にその単元の課題をこなしていくことで学力をつけていきます。
現代では復習型の塾が大部分を占めています。
復習型の学習塾においては、習った内容の定着に努めることが特に大切です。
授業を受ける前から本格的に予習をして習得するものではありませんから、授業を受けた後の学習が大切なのです。
ちなみに入江塾は四谷大塚の予習シリーズをテキストとして採用していて名前こそ“予習”ですが、指導は復習型です。
四谷大塚の準拠塾の多くはやはり復習型のようです。
(学校授業に対しての予習型、復習型という分類もありますが、中学受験塾の場合はこの意味においては全て予習型となります)
ここからは私の昔話を交えてお話しします。
今や、完全な予習型の学習塾を探すことは難しいでしょう。
しかし、私が小学生の頃は大手でそのような塾があり、私はそこに通っていました。
その塾では毎週日曜にテストがあったのですが、全く習ったことがないことを自分で勉強するので予習が大変でした。
算数は〇〇算の解説を読んで自分で理解し、国語は長文読解に取り組み、理科、社会はどこがポイントかも教えられることなく全て覚えるようにしていました。
テスト前の授業もあったのですが、授業で習うより先に自分で予習しなければテストに間に合わないスケジュールだったと思います。
今思うと、中学受験に予習型というのは親が子供の生活の管理、しつけのみならず、学習内容においても大きく関わらざるを得ないものだったと思います。
現に私は父から毎晩算数のレッスンを受けることで学力を伸ばしました。
家庭や生徒本人が積極的に学習に取り組めるならば予習型は大きく効果を発揮すると言えるでしょう。
それにしても、私自身が未熟だったのでしょうが、小学4年生で初めての内容に一人で向き合い、応用問題にまでチャレンジするのは孤独で辛かった記憶があります。
そういう、私の経験を以って考えると復習型の授業には大きな長所があります。
国語力が成熟していない子供では、教科書に書いてある内容を正しく理解することは案外難しいものです。
対面でも何回説明しても伝わらないことがあるのですから、独力で取り組むとなおさらでしょう。
そうなると保護者の出番なのですが、子供に教えるためには独特な中学受験の問題に向き合わねばなりませんし、そのための時間をとることは家庭によっては難しいでしょう。
復習型の授業ではまず初めに知識や考えを正しく解釈できるように説明します。
それから、復習や宿題を通して定着させるように努めます。
そうすれば、回り道をせずに済み、時間的な余裕が少ない小学生にとって、ロスのない効果的な学習ができます。
より積極的な学習を望む生徒はそこで予習にも力を入れればよいのです。
教科書に書いてあることは全て勉強すればいい、というのが正論なのですが、中学受験の勉強は小学校の勉強とは別に行わなければならないので、時間の問題もあってなかなか全てを網羅できないのが現実です。
ですので、本格的に勉強する前にどこが重要か強弱をつけて説明してくれる授業を最初に聞いたほうが効率がよいでしょう。
学習していく事柄に優先順位をつけるということです。
これも実体験ですが、私は歴史の全ての漢字を覚えることに義務感を感じ、必死になっていました。
好奇心によるものではなく、何をすればよいかはっきりしていないが故に闇雲に勉強していたのです。
こういった空回りは真面目さとは別物だと言えるでしょう。
やはり、どういう勉強をするべきかを予め示しておいたほうがよいのだと思います。
このように復習型の授業には大きなメリットがあります。
ただそのメリットを活かすにはやはりその名の通り復習が必要です。
では復習とは何をすることなのか?
宿題をすること?
間違いではないですが、それは厳密には正しくありません。
復習は、習ったことをそのまま、おさらいすることです。
授業で何の分野を習い、どんな内容だったのか、どういう解き方で解いたのかを確認し、先生が話していたことを思い出してほしいのです。
国語は教科書の文法のページや、語彙プリントを見返したり、漢字テストの間違えたところを見直して知識面の強化を図りましょう。
算数は資料や教科書に目を通して単元の確認を行い、解説プリントも一度見ておくと問題を解く際に方針を立てやすいです。
また、理科は板書を写したノートの確認をしたり、社会は教科書に一度目を通して総ざらいをすると全体の内容を掴みやすいです。
習ったことは自分でも確かめて、しっかりと認識しないと定着しません。
そして、その作業は早ければ早い方がいいです。
ぜひ、家に帰ってその日のうちに、宿題に手をつける時間がなかったとしても復習をしてみてください。
人は同じことを二度、三度と反復すると頭にしっかり残ります。
ですから、復習をしっかり行ったらきっと宿題もはかどることでしょう。
また、宿題に出てこない知識もカバーすることができますので、授業内容を取りこぼすことなく進めていくことができます。
多くの学習塾では宿題の量が多いです。
その量は必要以上のように思え、まるで宿題の量を以って質を保証するかのようにも見えます。
“某塾で大量の宿題に忙殺され子供の元気が無くなってきた“
そのような話はありふれています。
単元の内容を細分化し、それぞれに対して類題を反復するとなると、宿題は大量になってしまいます。
でも、各単元のポイントを押さえていけば、問題演習は必要最低限で済むはずなのです。
分野間で共有する考え方もたくさんあり、それらを分類して体系化すると実にスッキリしたまとまりができます。
例えば、算数では速さの問題において時間を求める問題と距離を求める問題を別々の公式で区別する必要はないのです。
正比例と反比例の違いが感覚的にわかれば、多くの分野について理解が進みます。
そういう、根本の原則を体感できるような授業を入江塾では心がけています。
ですから、授業内容をコンパクトにすることで、宿題の量は必要最低限で十分となります。
宿題の量が少ない分、やはりしっかりと復習をしてポイントをきちんと頭に残すようにしたいですね。
4、5年生で習った内容を6年生時に大きく活用するためにも、毎授業をしっかり復習することで正確に単元の性質を知っておいてほしいと思います。
その上でさらに、もう一度類題を解くなどの努力があるとよいです。
このように考えてみると、復習は授業と宿題の間を繋ぐ大事な役割を果たすと言えそうですね。
もう一度、今回の記事の内容をおさらいしておきます。(これも復習の一つですね。)
・授業はそれだけで完結するものではなく、後から復習することが大切
自ら学習に臨むことで、知識は確かなものになります。
・復習とは正確には宿題をすることではなく、習った内容をもう一度おさらいすること
宿題の解き方だけに執心してしまうと大事な性質を理解しないままに終わりかねません。
ただし、宿題できちんと授業内容をおさらいできる形にはなっています。
・授業の役割は初めて学ぶことをわかりやすい言葉で伝え、ポイントを絞って伝えること
生徒たちがどのようにその単元を学習するといいか、その方向性を示しているとも言えます。
もちろん、一度の授業で説明は十分に行って定着を図るのではありますが。
・宿題の量はあくまで必要最低限 より学習効果を発揮するためには復習や反復練習を行うことが大切
学力の伸長のためには生徒の積極的な学習が必要不可欠なのです。
・復習は授業と宿題の間を繋ぐ役割を果たす
今回のテーマとなる部分です。授業の効果を最大限得るためにも復習を大切にしてほしいと思います。