「先生、合格しました。」電話の向こうにA君のあの懐かしい声が弾んでいた。
入江塾での中学受験のときも、遠く離れての大学受験のときも本人の成長は感じられるけれど声の質は全く同じだ。
またその時々で喜びに違いはあろうが、その瞬間は最高の心境に違いない。
A君は小学校の頃からお父様と同じ法曹界を目指していた。
今日、彼の長年の夢が現実化したのだ。
という私の方は同じような環境だったが、こちらは出来が悪く、結局断念。
学習塾業界にはこのような「司法試験くずれの者」が結構いる。
「これはこれで、良い面もあろう」と私は思っている。
ところで試験制度が変わるのは受験生にとってはつらい。
高校受験の場合、選抜制度にしろ学習内容にしろよく変わる。
国公立大学の入試制度もコロコロ変わってきた。
それでいったい何が良くなったのだろうか。
本当に優秀な者(社会貢献も含め)が選抜できるようになったのか私にはわからない。
「司法試験合格率 また最低」
今年の法科大学院修了者を対象とした2011年新司法試験は過去最多の8765人が受験し、2063人が合格。
合格率は前年の25.4%をさらに下回る23.5%となり、5年連続で過去最低を更新した。
新司法試験制度を導入当初、「法科大学院修了者はほとんど司法試験に合格できる」という誤解(?)をした者もいたようだ。
そして司法試験委員会は合格者数の目安を上げていき、2010年には2900~3000人とするまでになっていた。
これが多いか、少ないかは評価にもよろう。
それが今は減り続けているのである。
私が受験生の頃は合格者は700人程度で、合格率は数%の超難関の試験(旧制度)であった。
大学の授業以外1日10時間以上、少なくとも2年の受験期間は必要と言われた。(現在でも学習の質と量は変わらないと思うが。)
それが新司法試験に変わった目的は合格者の若年齢化と、法曹人口(特に弁護士)の増加にあったという。
そのお陰で合格者数の変動を始め、いろいろな問題をかかえている。
こんな混乱期の司法試験の受験生は心理的に大変つらかったであろう。
私の過ぎ去りし青春の夢を達成したA君、本当におめでとう。
青は藍より出でて藍より青し 自分の合格よりうれしい!