「実は、この大会直前に賞金配分表を見て、(年間獲得賞金額1億円達成は)単独2位なら行けるって・・・・。その通りになっちゃった。だったら優勝って思えばよかったかな」
居並ぶ強豪をしり目にこんな大胆かつ無邪気なことばを口にしたのは弱冠17歳のプロゴルファー・石川遼選手である。
この結果、彼は11月23日現在の獲得賞金を99,730,166円とし、ランキングで堂々5位に浮上した。
この調子だと世界4大トーナメントの1つマスターズ大会(来年4月)への招待も夢ではないと言われている。
さらに驚くことには、彼が小学校の作文で「20歳までにマスターズ」と書いていたというのである。
小学校の時代に自分の夢を作文に書きその通り実現させたことで有名なのはマリナーズのイチロー選手である。
僕の夢は、一流のプロ野球選手になることです。
・・・活躍できるようになるためには、練習が必要です。僕は、3才の時から練習を始めています。
3才から7才までは半年くらいやっていましたが、3年生の時から今までは、365日中、360日は激しい練習をやっています。
だから、1週間中で友達と遊べる時間は、5~6時間です。
そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。
・・・ドラフト入団で、契約金は1億円以上が目標です。・・・
6年2組 鈴木 一朗
その当時、こんな夢はただの幼さから出たものとしか言いようがなかっただろう。
しかしそれが現実化した。
私は誰でも夢、特に大きな夢が持てるとは思わない。
また夢が必ず叶うとも思わない。
しかし、夢には人生を変える大きな力があると思う。
というのは、夢を持つことは時間の先取りであると言えるからである。
この時間軸を早送りする行為はふつうの動物にはできない人間特有の進化の結果ではないだろうか。
それは経済活動でいえば融資や投資などの信用取引という面で表われている。
近時のサブプライムローン問題は、その速すぎた変化に人間の脳が追いついていけていない状況とも考えられる。
夢を手に入れる人々は結果(目標)から逆算して物事を考えていると聞いたことがある。
それで、スランプに陥った中学受験生にときどき私は次のような話をする。
「もし君の第一志望の中学校の校長先生が合格を確約してくれたとする。条件として、毎日決まった時間まじめに学習することを求められたとしたら、これから君はどうする?」
将来の約束を信じられないから実行が伴わない。
しかし、信じられれば不安を乗り越え努力を始める。
結果が出て確信する。
好循環が起こる。
彼らの驚異的結果はこうして生まれているような気がする。
こんなことを書きつつ「生徒に説教するよりもまず私自身が未来を信じる力を強める必要がある」と思っている、のだが・・・。