先日NHKで放映されたアスペルガー症候群についての番組をみました。
内容はその障害を持つ1人の若い女性の生活の様子と、スタジオでの司会者との会話でした。
私はその女性の勇気に感心するとともに、そこまでして訴えたい彼女の気持ちに感動しました。
アスペルガー症候群とは広汎性発達障害(自閉性障害、自閉症スペクトラム障害)の一種です。
広汎性発達障害は、①社会性の障害、②コミュニケーションの障害、③想像力の障害とそれに基づくこだわり行動、の3つの特徴を持つ障害の総称ですが、その程度はさまざまだということです。
アスペルガー症候群は言葉の遅れをともなわない自閉症なので、中高生、成人になってその障害がわかることが少なくないといいます。
先ほどの女性も成人になるまでその障害がわからなかったので、お母さんの「普通になって」という要求が本人にとってはとても辛かったといいます。
この障害は周囲がそのハンディキャップに気づきにくくその結果、社会性の発達に遅れや歪みをもったまま成長したり、いじめなどによる二次障害から重大な問題を引き起こしかねないと指摘する学者もいます。
JR岡山駅のホームで男性を突き落とし死亡させた少年が、岡山地検の簡易精神鑑定でこの障害と診断されていたことが最近分かり話題になりました。
これ以外にも凶悪犯罪を犯した青少年が同じように診断されるケースが時々あります。
アスペルガー症候群という障害は専門家の間でまだ統一見解がないようです。
高機能自閉症と同義と解釈する研究者もおられるようですし、最近出版された「子どもの精神医学ハンドブック」にはたった3行の解説しか載っていません。
その割には私のまわりでもよく聞くようになりましたし、マスコミにも取り上げられるようになりました。
この障害が簡易精神鑑定で診断できるものではないという意見や、このような人々を「犯罪予備軍」のように捉える見方は大きな誤解であるという主張は、この障害を理解するためにも傾聴に値するものだと思います。
一方で知的障害をともなわない高機能自閉症とも関連があることは前述のとおりで、特に理系方面などで高い能力を示す人も少なくないといわれます。
エジソンやアインシュタインも軽度のアスペルガー症候群だったという説があります。
実際私が接した小学校5年生の男の子はすでに微分積分ができました。
それまで教えた生徒の中には頭脳明晰な方はいろいろおられましたが、さすがの私もこれには驚きました。