全身の筋肉が衰える難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の女性患者Aさんから依頼を受け、京都市内の自宅で薬物を投与して殺害したとして、京都府警は23日、甲と乙の医師2名を嘱託殺人の疑いで逮捕し、発表した。2人は女性の主治医でなく、SNSを通じて知り合ったとみられる。
朝日新聞 7月24日付
(注:当事者の表記を変えています)
この記事を読んで驚いた。社会的地位もある2人の医師がわざわざ京都まで赴いてこのようなことをするとは。他方、難病をかかえたAさんの生きる苦しみはいかばかりかと同情もした。
結局京都地検は8月13日に2人の医師を嘱託殺人罪で起訴した。嘱託殺人とはどういうものか少し調べてみた。刑法202条に規定されたもので、自殺関与の自殺教唆罪・自殺幇助罪、同意殺人の嘱託殺人罪・承諾殺人罪(同意殺人罪)の4つのうちの1つだ。辞書には「本人から自分を殺してくれと頼まれて殺すこと」(大辞林)とある。
Aさんのブログを新聞などで読むと「自分も同じ境遇ならば考えただろうな」との思いがこみあげてくる。一人暮らしで24時間、30人程のヘルパーに支えられ生活し、パソコンのスクリーン上に映したキーボードを視線で追って入力する「視線入力」を使っていた。そのブログには「私はこの動かない食べられない話せない、唾液さえ常に吸引しないと生きていけない身体で人間らしい人生を送っているとは思えない」「海外で安楽死を受けることを望んでいる」などと綴られていた。
私の塾からもたくさんの医者が育っているが、医師とは大変な職業だと思う。こんな重い人生を背負った患者もいるのだから。