一昨年9月頃、盆休みもない夏期講習で夏の疲れが出たのかイライラ感が募って物事に集中できなくなっていた。
「一週間ほど休ませてくれないか」とスタッフに頼んだところ、「こちらでなんとかしますので、すぐに休んで下さい」と言ってくれた。
何回か行ったことのある城崎温泉に行くことにした。
ビジネスホテルならば安いし、京都からはJR一本で便利、それに温泉地で逗留とは作家みたいでいい気分。
ホテルに着くと荷物を置いて外湯に入りに出かけた。
外湯は7つあって、1日に3つ以上入るならば「外湯めぐり券」を買うのがお得。
外湯は露天でない内風呂はどこも私には熱い。
肩までつかってゆっくり長湯はできない。
「めぐり」の由来はここにあるのか?
2日目だったか、朝7時前に「鴻の湯」に行ったところ、誰も待っていない。
7時開場で手のひら程の大きさの「男湯一番札」をもらった。
これに味をしめて他の外湯でも挑戦してみた。
先に並ばれていてそう簡単には札は集められなかった。(それ以降も休みを利用して2回ほど城崎温泉に行き、外湯5ヶ所の札が集まった。)
連泊だったのでホテルの主人とも少し馴染みになった。
毎日行く料理屋の店員からもサービスしてもらい付出しの一品が付いたりした。
一泊二日では味わえない体験だった。
志賀直哉「城の崎にて」よろしく日記をつけていたのだが、できたのはただの日誌で文学にはならなかった。