当初、科学の授業は学習指導の教室を間借りして行なっていた。
生徒数も順調に増えてきたので、1年後近所に部屋を借り専用の教室を作った。
さらにその後、教室を各地域に増やしていった。(現在は5ヶ所)
教室を新しく開くときは必ず阿部進先生をお呼びして、講演会とお楽しみ実験を行なった。
阿部先生の講演はおもしろく聞く者を引き付けるものだったが、その前に先生そのものが楽しんでおられるようだった。
話はいろいろ脱線するし、次から次へと話題が出てきてまさに終わりがないのである。
会場を借りている時が多かったので、時間の制約上終盤になると私はいつも「はやく終わってくれないか」と気を揉んだ。
そのうちに阿部先生もそのことに気づいたのか「話しが長くなると入江先生に睨まれる」などと言い出された。
それでも時間通りに講演が終わることはなかった。
先生は普段でもよくしゃべられた。
京都に来られた時は食事など共にさせていただいたが、よく食べよく話された。
私は先生を健康だと思っていたのだが、糖尿病を克服されたと聞いて驚いた。
一時は100キロ近い体重があり、失明寸前のところまでいったという。
その後ある医師と出会い、その先生の指導により体調管理をしているということだった。
その体験は一冊の本となり話題となった。