いじめと快楽
2008年、当時シカゴ大学の心理学者だったベンジャミン・レイヒー氏は、すぐケンカを始める、弱い者をいじめる、物を壊してはしゃぐ、平気で嘘をつくなどの行動をとりがちな少年らの脳をスキャンして調査し、その研究結果を発表しました。
それは、「こうしたいじめっ子の脳には、他人の苦しみを見ると喜びを感じる回路が備わっているかもしれない」という衝撃的な内容でした。
テレビでの澤口俊之氏の解説
澤口氏によると他人の苦悩を目撃すると、彼らの脳では扁桃体を中心とした報酬系(快楽)が活性化するという。
最近、私の個人事務所の隣の建物に足場が組まれた。
外壁のリニューアルのためのようだ。
一本一本トラックから移され、きれいに組み合わされていく。
ある時兄弟子と新米らしき若者が作業している横を通った。
20代と思われる兄弟子が「はよ持ってこんかい」と何度も怒鳴っている。
その度に若者は「はい、すいません」とあわてて運んでいる。
2階部分の幅のせまい不安定な板の上での行動。
私にとっては、それほど鈍重な動きとは思えない。
そのうちに命令していた方は「はやく持ってきてね~」などとふざけ出した。
「見るに堪えない、聞くに堪えない」とはまさにこのことか。
昔、小学生の頃の思い出。
クラスにボス的存在の男子(決して体格的に大きくない)がいた。
その子がある女の子に対し名前をもじったあだ名で呼び捨て、ことあるごとになぶっていた。
女の子は経済的事情から来るのか身体的・服装的外観はそれ程ではなかったが、今から思えば美人系であったと思う。
そんなある時、家の近くの交差点でバッタリ彼女と出会った。
私は「こんにちは」と挨拶したが、フンという感じで無視され自転車で走って行ってしまった。
私はその男子と付き合いはしていたが、「仲間ではない」と自分では思っていたのでショックであった。
その彼は今は社会人として立派に生活しているようだ。
他方、彼女についてはその後は知らない。
今、幸せに暮していればよいのだが。
彼らのいじめが快楽を伴っていたかどうかはわからない。
しかし、このような現場に出会えば逆に不快を感じる者は私だけではあるまい。