教育を受ける権利
小中学校のいじめ対策で東京都品川区教育委員会は五日、区内で公立学校の研修会を開き、深刻ないじめを行っている児童・生徒を出席停止にする制度を積極的に適用する方針を明らかにした。
文部科学省は同日、学校現場で消極的だった同制度の活用を盛り込んだ総合的な対策を公表しており、区教委の対応も同省の対策に沿ったものだ。
品川区教委の若月秀夫教育長は研修会で出席停止制度について「抑止力の効果を期待している」と話した。
学校教育法では「他の子どもの教育に妨げがある」と認められた子どもについて、教育委員会がその保護者に出席停止を命ずることができると定めている。
しかし、保護者の理解が得にくいことなどもあり、二〇一〇年度、全国で実施されたのは中学校五十一件にとどまっている。
品川区ではこれまで適用事例はない。
9月6日付某新聞記事
この記事を読んで、2点の感想を抱いた。
まず、教育委員会とともに特に公立中学校もいじめを行っている加害者に対しようやく積極的対応に乗り出そうとしているが、「遅きに失した」こと。
次に、「学校教育法にはすでに出席停止処分の規定があったのか」ということ。
こんなことを思ったのは、私の息子も10年ほど前にいじめにあったからだ。
事情により、息子は中2の終わり頃からある公立中学校に通い出したが、なぜかほどなく不登校気味になりだした。
2ヶ月ほどして家内から、息子が登校初日からあるグループによって「いじめ」にあっている事実を聞かされた。
今までそんなことがなかったので、私は驚いた。
息子は愚痴を言わない性格なので家内に話したということは「息子はよっぽど辛いのだろう」と察した。
私は即座にその状況について詳しく聞き出すよう家内に頼んだ。
返ってきた内容は、「授業中後ろの席から拳骨で背中を叩かれたり、カバンを蹴られ、汚されたり、下校時にグループに囲まれ嫌がらせを受けたり…」といったものだった。
小柄な息子に対し相手は大人のような身体つきだというから、それらは「ふざけ」や「からかい」では済まされないと私は思った。
ここは親が出なければならないと決意した。
そしてグループのリーダー格の名前を何とか突き止めた。
さっそく担任に会いに行った。
「これからよく注意します」との返事のみで一向に改善がみられない。
何度も学校に足を運んだ。
彼の人柄は良いように見えたが、私の大切な息子を守ってくれる強い実行力のある先生とは思えなかった。
それで「校長に会わせてほしい」と頼んだ。
先方はなかなか忙しいらしく指定の日時がようやく決まった。
その校長は、教育委員会から来たそうで、なかなか優秀な感じがした。
しかし、彼の言わんとするに「現状はどうしようもない」という結論だった。
私の要求に対し「加害者への停学処分は義務教育だからできない」との論理。
私は「憲法で保障されている教育を受ける権利はどうなるのか。」「そのうちに傷害事件などが起こったらどうするのか。」「うちの息子はやられ損か。」と強く訴えた。
しかし、彼は私とともに解決策を考えてくれようとはしなかった。
あのときの担任や校長は今、反省しているだろうか。
「1人の子どもの大切さ」をまだ理解できていないままだろうか。