某民放テレビ局がお昼に放映しているみのもんた氏の司会による健康番組の影響力はすごいということは、以前からうわさには聞いていました。
紹介された食品などがたちまち品切れになるというのです。
確実な科学的根拠をもたない一部のタレント科学者(医者も含め)の見解が彼のカリスマ的弁舌のお陰で学会の常識のようになってしまう現象に対し、医学博士である私の友人は「困ったものだ」と言っていたことを思い出します。
私自身はみの氏の超人的な働きぶりに感心するぐらいで番組の問題性についてそれほど考えたことはありませんでした。
ところが先日母が偶然この番組を見たらしく「朝食にはバナナがとてもいいのよ」と私に勧め、その日の夕方にはもう台所にバナナが置いてあったのです。
その翌朝から父もバナナを食べさせられるハメになりました。
ちょうど同じ頃NHKで「SAVE・THE・FUTURE」と題する長時間特別番組が放映されました。
それは京都から東京へ向かう飛行船とそしてスタジオからのライブ中継で「飛行船を見かけた人は手を振って下さい」との呼びかけがあったそうです。
母が「庭から手を振ったけどわかったかしら」と言ったのを聞いて、私はまたまたテレビの影響力の大きさに驚いたのでした。
最近前世を探ったり、オーラを見たりするスピリチュアル(心霊)がブームだそうです。
火付け役的なE氏が登場した番組に放送倫理・番組向上機構(BPO)が意見書を出すなど社会問題化しているとの報道が新聞に載っていました。
その記事の中で、カルト宗教に詳しい弁護士の紀藤正樹氏は「これはバラエティーですから」と抗弁するテレビ業界の視聴率優先主義を問題視し、報道機関としての本来の使命との調和を訴えています。
私は健康番組よりこの類の放映の方がはるかに問題は大きいと思います。
チャンネルをまわし、何の気なしに見ている人々の心の中には無意識のうちに植えつけられるものがあると思います。
その何か得体のしれないあやふやなものによって個人の死生観が影響されることに不愉快さを感じるのは私だけでしょうか。