東京オリンピックも終わったが、スポーツマンにはライバルと言われる存在があり、そのお陰で記録や成績が伸びているという。
塾人としての私にもライバルがいた。(先方はそうは思っていなかったと思うが)。私が塾を始めたのは30歳の頃(昭和58年)。御室仁和寺という大きなお寺の山門前の木造住宅の2階(1階は輸入雑貨の店)。とはいえ京都市道183号衣笠宇多野線、通称「きぬかけの路」に面した割と交通量の多い道路沿いにあった。またそこは南北に横たわる双ヶ丘(ならびがおか)という古墳の北端にあたり、その南端に私のライバル(?)S氏を代表とする双ヶ丘学園はあった。その塾は小さな中古ビルに入っており丸太町通りに面していた。創業は同じ頃だったと思う。
私達は規模拡大とともに東の西大路通りへと移転し、私は北野白梅町、S氏は円町というちょっとした繁華街に本拠を構えることとなる。双ヶ丘学園はT塾と改称し京都の中心地、四条烏丸にも進出し、その勢いはとどまる所を知らない様子であった。T塾は大学受験を専門とし、特に医学部受験に力を入れているようだった。
T塾が某全国紙に一面広告を載せたときには本当に驚いた。半面、「何億もの借り入れがある」とか、「医学部受験生の中には年間授業料1000万円」などという情報も入ってきた。
医学部専門予備校「壮絶指導で医学部合格率81%」の分母と分子に疑義あり!
おおた としまさ 2019/03/18 文春オンライン
こんな全国規模の疑惑も持たれるようになった。
そして今年5月31日、T塾は京都地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日受理された。
民事再生手続き中の学習塾運営、T塾(京都市中京区)は7日までに、創業者らが事業で得た資金の一部を外部に流出させていたとする文書をホームページ上で公表した。
文書によると、同社が依頼した会計士の推計として、流出した資金が2020年度までの4年間で計約17億円を超えるという。詳細や規模、手法については「なお不透明な部分が多々ある」としている。創業者は代表取締役を務めていたが、今年3月の株主総会で取締役を解任された。
京都新聞 2021年6月7日付
※ 塾名は表記を変えております。
私がライバルと思っていたS氏はどうしてしまったのだろうか。塾創業者としての彼はどこへ行ってしまったのか。