先月4月3日付の朝日新聞のある記事の中で、IQ(知能指数)について興味深い部分があり考えさせられた。
その記事は英オックスフォード大学教授のジェフリー・エバンズ氏が「英国の欧州連合(EU)からの離脱」についてインタビューに答えるものだった。
私はそんな内容より氏の経歴に興味を持ったのである。
その一部を抜粋する。
――ご自身も、陶器生産で有名なストークオントレントの出身で、社会人として陶器工場などで働いていた経験をお持ちですね。
「70年代に15歳で教育を終えてウェッジウッドの工場などで働きました。仕事に向いておらず、しょっちゅうクビになりました。失業で訪れた職業安定所でIQ(知能指数)の試験を受けたら非常に高いから大学に行けと。配達の運転手をしながら資金をためて、受験に必要な科目の単位を取りオックスフォード大学に進みました。地元での労働者階級の暮らしは悲惨で、過酷な生活から逃れたい一心でした。ここでは各国からの学者が集まるグローバルな研究環境があり、英国のどこの出身かは関係ありません。そこに自分の居場所を見つけたのです。今、自分が労働者階級だというつもりはありませんが、中流あるいはやや上の中流という意識はあります」
これを読んで英国の階級社会の実態を再確認した。
かつて労働者階級から出てきたビートルズがその点で脚光を浴びたということもうなづける。
しかし、私の関心はそれよりも氏のIQの方に向いた。
氏は幼児の頃に特別な教育は受けずに義務教育だけで育ってきたようだ。
そんな彼のIQは生まれながら優秀だったのだろうか。
前にも書いたことになるが、「IQは遺伝か環境か」の命題が私の頭に再び浮かび上がってきたのである。