知能(知性)は遺伝するかどうかは昔から論争の的だった。
約25年前私が知能研究所の講座を受けたときもそんなことが話題になった。
幼児教育を主宰している知能研究所は「知能が100%遺伝する」などとはもちろん言えない。
そんなことになれば幼児教育は無意味になってしまうからだ。
本能(本性)は学習しなくても親から伝わる(遺伝する)部分である。
例えば赤ちゃんは教えてもらわなくても乳の飲み方を知っている。
それは大脳辺縁系以下の部分が司っている。
それに対し知能(知性)は親から何の情報ももらっていない(遺伝のない)真白い部分である。
学習をしなければ理解、行動できないのである。
大脳新皮質が学習を司る部分だが、人間のそれの比重は動物のより極端に大きい。
そこに幼児教育の意味があると知能研究所は説く。
その知能の「学習するスピードや容量」は遺伝するらしい。
同じ車でも軽自動車とスポーツカーの違いがあるようなものかと私は考えている。
軽自動車をスポーツカーに追いつくために最初からアクセル全開で走らせていたらオーバーヒートしてしまう。
無茶をせず上手に乗れば目的地まで無事に着けるのである。
競争至上主義や詰め込み型の受験教育に反対する所以である。
ところで「父親よりも母親の遺伝子が子供の学力に影響する」そんな新説が今、週刊誌などで話題になっている。
知能を司る遺伝子の相当数はX染色体上にあり、父親(XY)より母親(XX)の方が特に息子(XY)に対する影響力が大きいという。
知能は機能によっては遺伝するかもしれないが、教育(学習)は絶対に必要である。
遺伝といってあきらめてしまうのではなく、あせらず子供の適性に応じた教育をしていくのはこれからも大切なことである。