日本は今までそれを目指してきたし、今後もそうでなければならないだろう。
ところが現実はお寒い限りだ。
11月12日(木)NHKのクローズアップ現代。
そこでは理科実験が苦手、理科離れの教師の問題が取り上げられていた。
法政大学の左巻健男教授(理科教育の専門家)は「若い先生の多くが小学校時代、理科につまずき、やがて興味を失ってしまった」と見る。
その原因が「ゆとり教育」の影響で理科の授業時間が大きく削られたことだと述べる。
教授によれば30年間で半減したらしい。
別の番組で小学校の先生の多忙ぶりが映されていた。
これでは理科の予備実験もできないだろうし、さらには実のある科学教育もできないだろうと同情してしまった。
しかし、このために世代間にまたがって理科離れ現象が進んでいくのかと思うと恐ろしくなってきた。
さらにはいま話題の行政刷新会議による「事業仕分け」なるもの、一部にこの問題がある。
仕分け作業はほぼ財政論に終始し、科学技術立国として「種をまき育てる」という議論に踏み込むことはほとんどなかった——-とはある新聞の評。
先程の教育現場の問題につながる、理科支援員等配置事業(22億円)は廃止というから国の理科教育にもはや期待はできない。
また現在進行中の科学開発にまで待ったがかかった。
独立行政法人・理化学研究所が開発を進める次世代スーパーコンピューター(スパコン)・(概算要求額270億円)について「来年度の計上見送り」を含む予算の削減を求めた。
これは同研究所理事長でノーベル化学賞受賞者の野依良治氏を「(スパコンなしで)科学技術創造立国はありえない」と憤慨させた。(ただ反響の大きさに驚いたのか、その後予算復活へ方針転換するようだ。)
仕分け人によると、世界最先端の大型放射光施設「スプリング8」の運転経費、「深海地球ドリリング計画」に対する補助費、中型ロケット「GX」の開発費等にも問題があるらしい。(確かにお金の流れに対する透明性を明らかにすることには同意するが。)
小柴昌俊氏のノーベル物理学賞受賞理由は「天体物理とくに宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献」ということだ。
はっきり言えば国に働きかけて岐阜県神岡鉱山跡に「カミオカンデ」を建設させたことが氏の主たる業績だと言えるのではないだろうか。
政治家・官僚(仕分け人の一部には民間人もおられたか)を教育する小柴先生のような科学者がこれから出てくることを望みたい。