「自宅で勉強したいのですが、何に取り組むのがよいですか?」
保護者の方から、または生徒本人から、こう質問を受けることがあります。
自宅学習におすすめの内容を聞かれたら、以下の3つをお伝えしています。
理科と社会は、キーワードを暗記していくことが得点に繋がりやすい科目です。
よく「どうやったら覚えられますか」と聞かれるのですが、これに対する完璧な答えはありません。どのような方法が覚えやすいかは、人によって異なるからです。
たくさん書いて覚える・繰り返し解いて覚える・声に出して耳でも覚える…等、方法はいろいろあります。
自宅で暗記学習に取り組むことで得てほしいのは、ただ「覚える」ことだけでなく、「自分に合った暗記方法を見つける」ということです。
これは後々の勉強においても、大きな財産となるはずです。
暗記の方法に暗記チェックという方法があります。
暗記できているかの確認はスピーディにこなしていきたいところですが、子ども自身がそれをすると時間がかかってしまいます。
そこで、一問一答形式の問題集が好ましいですが、普通の問題集でも構いません。お父さんお母さんが解答を持って、本人にどんどん言わせていきます。
口頭で言わせて間違えたところにチェックを入れ、間違っても構わないので、どんどん量をこなしていきます。
それでたくさん問題をやっていき、再度間違えたところを確認して、再度間違ったところは更にチェックします。
漢字で書く問題は別紙に書いてもらって確認します。
自分で暗記することに慣れている中高生とは違って、小学生の場合はまだ勉強に不慣れなところも多いので、そういうところを保護者の方が手助けすることで学習の効率を上げることができます。
計算を解く力はスポーツと少し似ています。練習を繰り返すことが力に繋がるのです。
はじめは早く解こうとせず、正確さを重視しましょう。
複雑な計算でもミスなく解けるようになってから、スピードを意識するべきです。
注意してほしいことですが「ミスしていても直せばよい」という考えは改めてください。
本番の入試に「やり直し」はなく、「1回で正答を出す」ことが理想です。
順算だけでなく、逆算もしっかり練習してください。入江塾では順序線をひいて計算するよう指導しています。手間に感じる作業も、正確に解くための近道ですのでしっかり身につけましょう。
漢字の読み書きを覚えることも暗記の一種ですね。
ことわざや慣用句といった語彙を増やすことも、国語力アップのために重要です。
熟語・類義語・対義語や文法など、中学受験国語において確認しておくべき内容は案外多いものです。
もし国語が苦手なのであれば、まずは漢字から手を付けていきましょう。
一方で、家庭学習において「これは避けるべき」というものもありますね。
時間を費やすばかりで学力に結びつかない学習法、間違ったクセを身に着けてしまう恐れがある取り組み等です。
「やっているのに成績が上がらない」ということはやる気の低下に繋がり、最も避けたい事態です。
おすすめしない学習法というのは、具体的には以下のようなものです。
習った内容のプリントやノートを、再度きれいに全て書き直している生徒がたまにいます。
問題なのはその作業そのものというより、「なんのためにやっているのか?」ということです。
全てをノートに書き直している生徒の多くは、「確実に覚える」こと以上に「きれいに仕上げる」「仕上げて終わらせる」ことで得られる達成感を優先してしまっています。
本当に必要なのは、時間や労力を費やすことでも、きれいに書かれたノートそのものでもありません。
頭の中に、必要なものを、しっかり記憶として残すことです。
まだ幼い小学生にとって、「ただ読むだけで内容から必要な情報を拾い、確実に記憶する」ことは高難度と言えます。
もちろん、それができるくらいの集中力で学習に取り組むことは理想ですが、ほとんどの子供には難しいでしょう。
理解を確認するためには、「書く」「解く」といった作業が不可欠なのではないでしょうか。
算数の難題を解くことそのものが悪いわけではありません。
算数を苦手とする生徒が家庭学習で陥りがちな、
「自分の力に見合っていない応用問題に手を出す」→「結果解けない」
というループを回避してもらいたいのです。
こうした応用問題は、塾で先生に質問すると大抵は「そこを解く前に、まず手前の基本問題を習得しましょう。そのあとにやるべきです。」というようなことを言われてしまいます。
基礎から段階を踏んで習得していくことは、算数においてとても重要なのです。
算数が苦手なのであれば尚更、取り組む課題については担当の先生に相談をするべきでしょう。
最後になりますが、こういった家庭学習の取り組みは、もちろん宿題をしっかり終わらせていることが大前提です。
また、受験まで猶予がある学年であれば、家庭での空き時間を勉強にばかり費やす必要はありません。本を読むことや、課外でいろんなものを見たり触れたりすることも、勉強の下地としてとても重要なものです。
受験学年であっても、取り組む際には時間や内容を適度に区切って、メリハリのある学習を心掛けましょう。
筆者:八木