進学年度が始まって新しい顔ぶれがそろい、塾にも活気があふれています。
遅くまで頑張る生徒の皆さんの中には、愛情たっぷりの手作り弁当を持ってきている人もいます。
本来なら、「晩ごはん」は家族揃って、が理想なのでしょうから、それが出来ない代わりにお弁当と一緒にご家族のたっぷりの愛情も持ってきているのだな、とほほえましい光景を眺めています。
さて、最近よく聞く言葉で、私には抵抗がある言葉の一つが「夜ごはん(よるごはん)」です。
私は幼い頃から、ずっと「晩ごはん」を使っていました。男性の中には「晩めし」を使っていた方もいましたし、母や祖母などは「お夕はん」と言っていたように思います。書き言葉では「夕食」でしょうか。これは今も昔も変わっていませんね。
気になるので、ちょっと調べてみました。
・「夕(ユフ)」:日が暮れかけ、夜になろうとする頃。夕暮れ。夕方。ゆうべ。
・「晩」:①ゆうべ。ひぐれ。宵(よい)。日没後。人がまだ寝ずにいるような夜の初めの方。
②時期がおそいこと。
・「夜」:日没から日の出までの時間。太陽が没して暗い間。夜(よ)。
・「晩御飯(ばんごはん)」:晩のご飯。夕食。夕飯。晩飯(ばんめし)。
・「晩餐(ばんさん)」:晩の食事。夕食。特にあらたまった感じの豪華な夕食。
・「ゆうげ(夕食・夕餉)」(古くは清音):夕暮の食事。ゆうしょく。晩飯。夕飯。晩餐。
・「夕食(ユフ‥)」:夕方の食事。夕飯。ゆうげ。
・「夜食(やしょく)」:①夜、物を食べること。
②一日の定まった食事以外に、夜遅くとる軽い食事。
(広辞苑より)
ちなみに、「夜ごはん」の記載はありませんでした。おそらく最近できた言葉で、まだ新しいからでしょう。
私が初めて「夜ごはん」という言葉を聞いたのは京都に越してきてからなので、おそらく5~6年前のことでしょうか。
初めは「夜食」のことを言っているのかと思っていましたが、どうやら「夕食」のことを指している、と分かりました。
それまで住んでいた岡山や四国では聞いたことがなかったので、当初は京都の方言かと思っていましたが、そのうちにテレビや雑誌の中でも聞いたり見たりするようになり、最近では「晩ごはん」と「夜ごはん」のどちらを使う人が多いのだろう‥‥と思われるほどになってきました。
私の幼い頃には、父親の帰りを待って夕方6時くらいには家族揃って食卓を囲んでいました。
先日ネットの記事を見ていると、夕食に関するアンケート結果が載っており、平日の夕食を食べ始める時刻は「19時台」が最も多く全体の4割近くを占めているとか。
中には21時以降と答えた人も1割強おり、「晩食化」傾向が見受けられる、とも書かれていました。
「夜ごはん」を使う人が増えてきたのは、人々の生活の変化から夕食を取る時間がだんだんと遅くなってきたからでしょうか。
時代と共に言葉も変化していくのは当然のことですから、これも仕方のないことかもしれませんね。
最近「夜ごはん」を使う人が増えたということは、「夜食(やしょく)」という言葉はあまり使われなくなったのでしょうか。
私が中高生だった頃(随分昔の話になりますが)、試験勉強で深夜まで起きていると、母は自分が寝る前に夜食を作って私の部屋まで持ってきてくれました。
暖かい飲み物(ココアやホットレモン)とトーストかパンケーキ(当時はホットケーキと呼んでいたと思います)が定番でした。
すると私の眠気はすっかり冷めて、「頑張ろう!」と思えたものです。
暖かい「夜食」も美味しい「晩ごはん」も、受験生には大きなパワーになりますね。
私はこれからもずっと、「夜ごはん」ではなく、「晩ごはん」派でいこう!と、思っています。
筆者:富田